夏の終わりのゾンビ祭り!『ゾンビフェス THE END OF SUMMER2019』に出演!入江雅人&岩崎う大(かもめんたる)インタビュー
『ゾンビ』をテーマにしたパフォーマンスが集合し、あらゆるジャンルの達人たちがゾンビものに挑む!
CBGKシブゲキ!!が提案する夏の終わりの祭り『ゾンビフェス THE END OF SUMMER2019』が8月31日と9月1日の両日開催される。
ゾンビをテーマにした作品を数多く手がけてきた入江雅人をホストに迎え、晩夏の風物詩として展開されている公演で、3年目の今年もゾンビを携えた本格派が結集。新たに浪曲の玉川太福(曲師:玉川みね子)の参加も決定し、更にジャンルを拡大した一度で様々な体験ができる「フェス」となっている。
そんな公演に臨む、ホストの入江雅人とお笑いコンビ「かもめんたる」の岩崎う大が、公演に向けた意気込みや、ゾンビの魅力を語り合ってくれた。
ソンビって料理人の腕が試される
──これまでの開催の手応えから教えてください。
入江 元々は僕が一人芝居で、ゾンビものだけの公演をやっていたのですが、落語の立川志ら乃さんが「悪魔のいけにえ」というホラーを落語にしたというのをツィッターで見て、この人とだったらやれるんじゃないか?と思ったのがきっかけで、更にジャンルを増やして「寄席」のようなイメージで「フェス」にしたいなと思いました。去年は、う大君にも声をかけられるような距離ではなかったんですが、思い切ってお願いして、あとは頼れる知り合いの人たちに声をかけて固めて、なんとか次につなげたいと。おかげ様で今年は初めて二日間になったのですが、だからちょっと不安もあります(笑)。去年満席になってやった!と思っていたのに、思い切って攻めてるなと(笑)。
──企画が成長しているんですね!その去年のメンバーである「かもめんたる」さんですが、そもそもオファーを聞いた時には?
岩崎 ゾンビがお題になっていて、元々ゾンビネタのものは持っていなかったし、皆さんがどのくらいゾンビを入れていらっしゃるのかわからなかったので、「あれしかゾンビ入ってないじゃん」とかいう野暮なことになるのは嫌だな…という思いもあって(笑)。かと言って新ネタを作ってスペる訳にもいかないので(笑)去年は僕らのネタの中で「最後に人が豹変する」というのを「最後に豹変してゾンビになる」という風にして臨みました。それで他の方の演目を拝見したら、皆さんちゃんとゾンビが入っていたので、これはもうスペルとかどうこうよりも、やっぱりゾンビが大事なんだ!というのが初参加してみて思ったところなので、今年は強くゾンビを押し出して臨みたいと思います。
──では新作を?
岩崎 そういうことになりますね。次があったら新ネタを書くしかないなと思っていたので。
──皆さん個々の演目内容についてはご存知なんですか?
入江 僕は一応出ハケのことがあるので、流れは確認していますが、内容はできるだけ見ないようにしていて。
──ではリハーサルまでは皆さんが何をするのかはご存知ない?
入江 知らないです。来てもらってそれぞれそこでバッとやってもらって、はい次!みたいな(笑)。
──そういう形の初参加でいらしたから、先ほどのお話につながるんですね。
岩崎 そうですね(笑)。でもわからないまま参加しても大丈夫だという間口の広さは感じました。
入江 うん、だから面白い人たちを集めたので、そこまでゾンビにこだわってくれなくても良いという気持ちはあるんですよ(笑)。あくまでもお題が「ゾンビ」で、この顔触れなら面白いことは間違いない!という方達だから、もうゾンビはチラッとでもあればね。
岩崎 今回はホラーテイストで、去年よりちゃんと…いや、去年もちゃんとやっていなかった訳じゃないんたけど(笑)
入江 やってた、やってた!(笑)
岩崎 この機会にゾンビにちゃんと取り組んでみようと。
入江 なんだったら日替わりでも良いよ?二日あるから。
岩崎 日替わりになさるんですか?
入江 俺はやらないけど(爆笑)。
岩崎 じゃあ一日目終わってみて、少しは変えるかも知れません(笑)。ゾンビって正直難しいテーマでもあって、さっき写真を撮るのにゾンビをやった時にも、若干恥ずかしさがあったんですけど(笑)ゾンビって生きている人間がやるには恥ずかしい要素がある。でもそれはパワーがあるってことだと思うし、それを面白いエンターテインメントにするには、料理人の腕が試される題材ですよね。
ゾンビで人間ドラマをという無理なことをやっている
──入江さんはその題材を何度もやっていらした訳ですが。
入江 もう十何本目なんですよ。だからもうやり尽くした感があって、新しいのを書くのがしんどいです。たぶん世界一ゾンビものを書いていると思うんです。
岩崎 えっ?じゃあ今年で終わりになっちゃうんですか?
入江 いやいや(笑)。俺は次からは再演でね、うーん、でも結局新作書けたしなぁ(爆笑)。
──「ゾンビフェス」も攻めに出て二日間に拡大した訳ですから!
入江 そうですよね。今年の1月に舞台版の『帰郷』をやって、ある意味自分のゾンビものの集大成的な作品だったので、ゾンビものは、もうやり終えた気もしたんですが、逆に一人芝居版をまたやってみたいなという思いも生まれたんですよ。僕自身が舞台から見る景色が違うだろうし、舞台版の『帰郷』を観たお客様も見え方が違うだろうし、それは今年だからこそできると思いました。ゾンビものは、ずっとやって来たけどいつの間にかゾンビがあまりにもメジャーになってしまって、色んなパターンでやり尽くされたから新しいことをやるのって本当に難しいですよね。でも「ゾンビフェス」にはセンスのある方しか呼んでいないし、その人たちがゾンビという題材にどう挑むのか? 僕自身が楽しみにしてます。今回特に期待しているのが浪曲の玉川太福さんと玉川みね子さんですね。8月31日のみなんですけど、浪曲でゾンビっていうのは、かなり面白いんじゃないかと思っています。浪曲にゾンビって合うと思うんですよね。馬鹿馬鹿しさという破壊力に於いて最強かもしれません。
──昨年他の方の演目観て刺激になったことなどは?
岩崎 夏っぽいイベントだなと全体的に思いました。他のライブにはない雰囲気で、様々なジャンルの人が出ている独特なもので、渋谷っぽくもなかったし(爆笑)夏の夢みたいな感じでした。
入江 あぁ、そんな感じ!塚本功さんの音楽と入手杏奈さんのダンスが加わって、夏の終わりの感じがさらに広がったと思う。
──今年は入江さんとオクイシュ―ジさんが組まれる演目もありますね。
入江 ガッツリと二人芝居やります。場面転換もバンバンある僕が普段やっている芝居のスタイルで、結構、センチメンタルな作品です。『帰郷』があるからそれは良いかな?と思ってたんですけど。
──夏の終わりはセンチメンタルなものがある、ということですね。
入江 夏の終わりって、センチメンタルな気分にさせてくれますしね。
──改めてお二人が考えるゾンビの魅力は?
入江 ゾンビの魅力というより、ゾンビの世界での人間が生きることと死ぬことから生まれるドラマが面白いと僕は思うみたいです。ゾンビ自体が無理な存在じゃないですか。そこを更に乗り越えて人間ドラマをという無理なことをやっているんですけど、とにかくテレビでも映画でもゾンビものはあふれているから、それとは違う感じでとは思っています。
岩崎 ゾンビはひとつポップな存在だなと思います。華があるとも言えるのですが。
入江 ポップになったんだよね。昔は、気持ち悪い存在だったのに!
岩崎 そうですよね。色々な人が手掛けるに連れてポップになっていったのかな。1回死んだものが生き返って動き回っている訳でしょう?そこがちょうどよい怖さなのかなって。
入江 幽霊だったらどこかにいるかも?と思うけれども、ゾンビって絶対いないからね(笑)そこは安心して観られるかも知れない。
岩崎 幽霊だと急に来ますけど、ゾンビはオートロック入れないから(爆笑)。しかも怨念とかではないから、そこがポップな所以なのかな。
入江 もう本当にやり尽くしているから、あとはチョイスだよね。
岩崎 頭の良いゾンビってあんまりいないですよね。それと最近のゾンビってすごく移動速度が速いでしょう?あれはちょっとズルい気がしているんだけど(笑)、でもすごく速く動いて、悪口とかどんどん言ってくるゾンビっていうのも凄いかなと。
──話すゾンビというのはもう登場しているのですか?
入江 僕の作品の中ではもう出しています。まぁ言ってしまえばゾンビが歩く時点でもう反則なので喋ってもいいやと(笑)。基本的に何故ゾンビが生まれたのかの設定もね、薬品がかかってとか、惑星がどうのとかある訳だけど、もうあれに時間をかけてもしょうがないという気がしていて(笑)。もちろん理由付けは一応入れますけど、もうここまで浸透していたら、死んだ人が動き出して「うぉぉ~」と言えば「あぁゾンビか」と思ってもらえるようになった(笑)う大君が言ったようにポップになっているんだから、説明は必要最小限で良いやと思うようになりました。
ゾンビをお題に様々なジャンルに出会える場
──そのゾンビがポップになったことについてはどう感じていますか?
入江 嫌でしたね。なんかどんどん皆がゾンビ、ゾンビ言い出して、俺はもうずっとやっていたのにと(笑)。でもまぁやりやすくはなりましたけどね。
──時代を先取りされていたんですよね。そんな入江さんと岩崎さんは、お互いの魅力をどう感じていらっしゃいますか?
入江 褒め合うの?(笑)。かもめんたるが元々好きだったんですが、う大君の漫画がもう好みで!ドラマの展開とか凄く面白くて、ちょうど去年のゾンビフェスの前に読んでいて、思いきって声をかけさせてもらいました。
岩崎 ありがとうございます!
入江 もちろんコントも好きだけれども、漫画も非常に面白いんです。ただ下ネタが結構あるんで人に勧めにくくもあるのですが(笑)ストーリーの思いがけない展開が面白いんです。あの絵のタッチも他にないです。ファンなのでもっと広まって欲しいです。
岩崎 漫画はね……たまに自分で読み返しても「これが認められないのは納得いかねぇぞ」と思うんですが(爆笑)。
──演劇人にファンが多いですよね?
岩崎 そう言ってくださる方は多いんですけど、おかしいなと(笑)。入江さんのことは僕も大好きなんですが、まず力が入っていない人だなと。やっぱり皆さんがリスペクトされている方ですし、シブいですよね!シブくて面白い。必要最低限の動きでちゃんと人を殺せる、太極拳みたいな感じの魅力が凄いと思います。
入江 でも、僕の力の抜け方とはまた全く違うタイプで、う大君も力が抜けているよね。劇団かもめんたるでやった動画を撮影するシーンが本当に面白かった。ずーっと一人で喋っているんだけど、これができる人は他にいないんじゃないかと思ってすごく感心しましたね。面白かった!
──お二人にとっても楽しみなフェスということになると思いますが、では改めて意気込みお願いします。
入江 ゾンビフェスですが、カラコンを入れたゾンビが出てきたりはしません。怖くはありません!(笑)。塚本君のギターなども実際に聴いて頂けたなるでしょうし、ゾンビファンの方には「こんな解釈をするんだ!」という発見もあると思います。そして夏の終わりを感じてもらって、この夏の思い出にして頂ければ嬉しいです!
いりえまさと〇福岡県出身。横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)の同期だったウッチャンナンチャン、出川哲朗等と劇団SHA LA LAを結成。他の劇団員と共にバラエティ番組で活躍した。劇団解散後は役者として活動。近年は『サラリーマンNEO』シリーズレギュラーとしての活躍で、知名度を高めている。
いわさきうだい〇東京都出身。お笑いコンビ「かもめんたる」のメンバー。早稲田大学在学時代に森迅史と出会いお笑いサークルWAGEに参加。01年に5人組コントグループWAGEとしてメジャーデビューし05年まで活動。グループ休止後は単独のコントライブを行うなどピン芸人として活動した後、WAGEのメンバーだった槇尾ユウスケとお笑いコンビ「劇団イワサキマキオ」を結成。10年より「かもめんたる」に改名し、更に活躍の幅を広げている。
【公演情報】
『ゾンビフェス THE END OF SUMMER2019』
出演◇入江雅人、入手杏奈、オクイシュ―ジ、かもめんたる、坂本頼光(9/1のみ)、清水宏、立川志ら乃、玉川太福&玉川みね子(8/31のみ)、塚本功
●8/31~9/1◎CBGKシブゲキ!!
〈料金〉5.500円
※当日券は開演の1時間前から劇場入口にて販売。
〈お問い合わせ〉03-6415-3363 CBGKシブゲキ!!
〈ホームへ―ジ〉www.cbgk.jp/schedule/index.html#zombiefes2019
【取材・文・撮影/橘涼香】
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